司法が決める医療水準

帝王切開が遅れたため重い後遺症が残ったとして、損害賠償を求めた訴訟の2審判決で「胎児の心拍数の一時低下症状が表れた際、速やかに帝王切開していれば、重い障害は残らなかった」として、市に約8465万円の支払いが命じられた。
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一方で「母親の入院当初から胎児は相当程度の低酸素状態にあり、障害の一因になった」と判断し、賠償額を4割減らした。

「夜間、麻酔科医らが常駐しておらず、医師を呼び出すなど出産まで1時間以上かかった」ということだ。麻酔科医らが常駐しておらず出産まで1時間以上かかる病院では、万全な体制にするべくスタッフを増員するか、万全な体制を整備できないとして産科を閉鎖するか、しなければなるまい。

妊婦さんと生まれる子のことを第一に考えると、安全な分娩を出来なくなったので産科を撤退しますというのは、立派な理由になってしまう。その理由が、医学的な理由ではなく法的な理由だというのが、医療にとっての不幸だが、昨今の医療崩壊の情勢の下で、産科閉鎖を考えている病院や、病院からの逃散を考えている産婦人科勤務医にとっては「渡りに船」の判決ともいえる。
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ある産婦人科医のひとりごとによると、脳性麻痺の内、分娩が原因である頻度は15%前後であるのに対して、我が国の脳性麻痺訴訟で分娩時の医師の過失を指摘する判決が約80%だという。このギャップはどこから生じるのだろう。

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